本当に暮らしやすいのはどの都道府県? 47都道府県「経済的ゆとり」ランキング発表―「全国家計構造調査」から

2026.06.10
[ Contents ]

本当に暮らしやすいのはどの都道府県?
47都道府県の「経済的ゆとり」を徹底比較

総務省が5年に一度実施している、「全国家計構造調査」という大規模かつ包括的な家計に関する調査があります。これは国民・生活者の日々の経済活動を「所得と消費」の側面から極めて精緻に解き明かす調査なのですが、つまり日本の平均的な「家計簿の中身」がまるわかりになるのです。2025年12月に、5年ぶりとなる最新の調査結果が発表されました。

都会のほうが、賃金水準が高いことはみんな知っています。同時に、都会では家賃が高いこともみんな知っています。これらを差し引いてはじめて「どっちがゆとりがあるか」が掴めるわけで、「実際どれぐらい違うのよ!?」をつきとめたいのがこの分析の動機です。

真にゆとりをもって暮らせる都道府県はどこなのでしょう。「東京の家賃が高すぎて、働いてもお金が残らない」、「地方は家賃が安くても、自動車の維持費がそれなりよね」…など都市と地方にまつわる定説は、本当でしょうか?検証してみましょう。

なお、集計・分析にはAIを多用しました。超今更ですが、AIって本当にすごいですよね。圧倒的なスピードと緻密さで、集計やら分析やらをガシガシ進めてくれます。「知」という領域における人間の価値とは何なのか? つくづく考え込んでしまいます。しかし、つい考え込んだところで、その考え事すらも昨今はAIがやってくれる時代です。「人間は考える葦である」と偉大な哲学者が言ったそうですが、考える葦としての地位すら、もう失われてしまったのでしょうか。いや、もともと「考える葦」だと強がってみたところで、自然の中の人間のちっぽけさは今も昔もさして変わりないというだけのことか…。むむむ。なかなか本題に入れなくなるので、気を取り直して、レポートに入ってまいりましょう。

※今回のレポートでは、「全国家計構造調査」から、2人以上の世帯かつ勤労者世帯に絞って集計をし、さらに1人あたりに換算するという一手間を加えています。集計方法の詳細や各費目の定義などは最後の章に詳細をまとめて記しました。ご興味のある方は記事末尾をぜひご参照ください。

 47都道府県「経済的ゆとり額」総合ランキング、1位は…! 

早速「経済的ゆとり額」の総合ランキングをみていきましょう。ここでは、「収入(可処分所得)」から、「生活に必要不可欠な支出(食費、住居費、交通・通信費、光熱水道費、教育費、保健医療費)を引いた残りを「経済的ゆとり額」ととらえることにしました(収入とは、 全国家計構造調査では「可処分所得」、いわゆる手取りの費目です。今回のレポートでは全般的にこれを単純に「収入」と称することにします)。

 経済的ゆとり額=収入(手取り)-支出(食費、住居費など必要不可欠支出)

です。
さて、最新の「令和6年全国家計構造調査」から導き出される、日本で最も「経済的ゆとり」のある都道府県はどこでしょうか?いきなり結論です。

経済的ゆとり額(1人あたり/月)

順位 都道府県 経済的ゆとり額(円)
1 福井県 132,887
2 栃木県 131,982
3 茨城県 131,653
4 徳島県 131,423
5 静岡県 127,007
6 富山県 124,293
7 香川県 123,867
8 群馬県 121,478
9 和歌山県 120,998
10 広島県 120,598
もっと見る(11位〜47位)
11 岩手県 120,046
12 神奈川県 119,635
13 石川県 119,430
14 愛知県 118,982
15 青森県 118,448
16 宮城県 118,136
17 千葉県 118,019
18 長野県 117,847
19 東京都 117,622
20 新潟県 117,485
21 大分県 117,284
22 鳥取県 116,822
23 岐阜県 116,581
24 北海道 115,013
25 山形県 114,825
26 島根県 114,571
27 三重県 113,957
28 滋賀県 113,881
29 秋田県 113,544
30 熊本県 112,991
31 高知県 112,504
32 愛媛県 111,905
33 岡山県 111,179
34 埼玉県 110,927
35 大阪府 110,642
36 福島県 110,228
37 山梨県 109,426
38 宮崎県 107,948
39 福岡県 107,941
40 山口県 107,171
41 兵庫県 106,684
42 鹿児島県 106,038
43 佐賀県 105,983
44 奈良県 103,092
45 京都府 98,111
46 長崎県 93,795
47 沖縄県 92,275

1位は福井県でした!福井県の皆様おめでとうございます。
なぜ福井県なのでしょう。収入と支出のバランスで「経済的ゆとり額」は決まるわけですが、福井県の特徴は、収入がそこそこあるのです(全国4位)。そしてその理由は、1つの世帯にいる大人の構成人数、とくに仕事をしている大人が他都道府県に比べて多いことによるようです(家計構造調査では、有業人員数。有業人員数が2を超えるのは、福井県と群馬県のみ)。福井県はもとより共働き夫婦が多いことで知られている県でもあります(令和2年国勢調査で全国1位)。なるほど、なるべく多くの稼ぎ手が1つの世帯で一緒に住むと最も経済効率が良いと…。単純化するとそういう構造になるようです。

2位は栃木県でした。栃木県は収入は全国15位でまぁあぁいい方。なおかつ、関東の中では住居コストも低め、世帯人数も多め。つまり収入・支出・世帯構造の絶妙なバランスの賜物が栃木の勝因といえそうです。3位の茨城県も栃木に類似した構造のようですが、収入も支出も栃木より多いのが茨城の特長です。

 ちなみに4位の徳島県というのが謎です。本章担当している筆者は徳島出身なのですが、ハァ?という感じ。支出=生活コストが安いのは当然に想像できるとして、データをよーくみていると徳島県は、なぜか収入が上位に食い込んでいる。最低賃金が、ついこないだまで全国ワースト2位だった県がどうしたことだろうか。AIに聞いてみたところ、大塚製薬、日亜化学工業という大企業の存在、人口あたりの医者の多さ(全国一位)、人口あたりの公務員の多さ、から全体として収入が底上げされている可能性、と提案してきた。ううむ、皆様に徳島暮らしをオススメできる理由には特段ならなさそうですが、熊はいません。あと、最低賃金はなんだか近頃頑張って、全国27位までは浮上してきたらしい。いかがでしょう、徳島。阿波踊りの時以外は観光客もいませんので、オーバーツーリズムで住民の穏やかな暮らしが脅かされることもまずないと断言します(笑)

 他に上位に位置して気になるのは茨城県、静岡県、広島県、あたりでしょうか。このあたりは都会の便利さと田舎ののどかさが両方手に入る非常に都合の良いエリアな気がします。 

皆様のお住まいの都道府県や気になる都道府県は何位に入っておりましたか?いろいろ言いたくなってくる気持ちはわかります!ぜひコメントお寄せください。
さてここからは「ゆとり」の中身を細々と見ていきましょう。日本全国の地域特性がじわじわ見えてくることでしょう。
まずは収入、その後支出について、食費、住居費、光熱・水道費、交通費、教育費と項目ごとに詳細に分析していきます。

 収入の多い都道府県―同じ「高収入」でも中身が違う東京と福井

収入の多い順に都道府県を並べてみました。

収入(可処分所得)(1人あたり/月)

順位 都道府県 収入(可処分所得)(円)
1 東京都 319,562
2 神奈川県 298,163
3 千葉県 288,288
4 福井県 287,433
5 富山県 286,060
6 茨城県 284,191
7 徳島県 275,831
8 群馬県 275,719
9 埼玉県 273,359
10 静岡県 273,059
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11 岩手県 272,922
12 兵庫県 272,132
13 愛知県 272,108
14 宮城県 270,980
15 栃木県 270,380
16 香川県 270,364
17 長野県 266,207
18 大阪府 265,951
19 和歌山県 263,690
20 高知県 263,530
21 広島県 262,926
22 山梨県 262,400
23 岐阜県 261,046
24 滋賀県 260,593
25 奈良県 259,532
26 石川県 258,959
27 三重県 258,642
28 新潟県 258,197
29 山形県 257,804
30 青森県 256,926
31 鳥取県 256,020
32 熊本県 253,817
33 山口県 253,250
34 岡山県 252,527
35 秋田県 252,525
36 京都府 251,394
37 北海道 250,071
38 大分県 249,618
39 島根県 248,509
40 福島県 246,783
41 鹿児島県 244,571
42 愛媛県 243,773
43 福岡県 243,098
44 佐賀県 239,567
45 長崎県 234,843
46 宮崎県 232,644
47 沖縄県 221,762

全国で最も1人あたりの収入が高いのは予想通り東京で、これに神奈川や千葉といった首都圏が続きます。これらの地域は個人の賃金水準そのものが高い「都市型」の稼ぎ方が特徴です。

ここで先に示した「経済ゆとり額」のランキングと、本章の1人あたり「収入」のランキングの違いを考えた時、重要な要素となるのが、世帯中の人員数とその内訳です。世帯の平均人員数と、内訳である大人の平均人員数(18歳以上人員数)、子供の平均人員数(18歳未満人員数)を示しておきます。

世帯の平均人員数

順位 都道府県 世帯人員
1 佐賀県 3.35
2 熊本県 3.29
3 鳥取県 3.28
4 栃木県 3.26
5 富山県 3.25
6 福井県 3.24
7 沖縄県 3.23
8 岐阜県 3.22
9 滋賀県 3.22
10 群馬県 3.21
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11 島根県 3.21
12 福島県 3.2
13 新潟県 3.2
14 愛知県 3.19
15 山形県 3.15
16 石川県 3.15
17 奈良県 3.15
18 岡山県 3.15
19 長崎県 3.15
20 静岡県 3.13
21 広島県 3.13
22 岩手県 3.12
23 埼玉県 3.12
24 長野県 3.12
25 宮崎県 3.12
26 福岡県 3.11
27 徳島県 3.1
28 茨城県 3.09
29 大分県 3.09
30 千葉県 3.08
31 三重県 3.08
32 神奈川県 3.07
33 山梨県 3.07
34 大阪府 3.06
35 香川県 3.06
36 鹿児島県 3.06
37 宮城県 3.05
38 愛媛県 3.05
39 秋田県 3.04
40 山口県 3.04
41 京都府 3.03
42 兵庫県 3.03
43 東京都 2.99
44 和歌山県 2.96
45 高知県 2.92
46 青森県 2.9
47 北海道 2.87

大人の平均人員数(18歳以上人員数)

順位 都道府県 世帯人員
1 富山県 2.53
2 鳥取県 2.53
3 奈良県 2.52
4 福島県 2.51
5 福井県 2.5
6 岐阜県 2.49
7 新潟県 2.47
8 佐賀県 2.45
9 栃木県 2.44
10 岩手県 2.42
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11 群馬県 2.42
12 愛知県 2.42
13 滋賀県 2.42
14 秋田県 2.41
15 長野県 2.4
16 山形県 2.4
17 神奈川県 2.4
18 静岡県 2.39
19 埼玉県 2.38
20 千葉県 2.36
21 茨城県 2.36
22 熊本県 2.35
23 石川県 2.35
24 山梨県 2.35
25 岡山県 2.35
26 宮城県 2.34
27 三重県 2.34
28 島根県 2.34
29 長崎県 2.34
30 大分県 2.34
31 京都府 2.33
32 大阪府 2.33
33 兵庫県 2.33
34 徳島県 2.33
35 青森県 2.31
36 広島県 2.31
37 東京都 2.3
38 福岡県 2.3
39 香川県 2.28
40 山口県 2.27
41 高知県 2.24
42 宮崎県 2.23
43 北海道 2.22
44 愛媛県 2.22
45 沖縄県 2.22
46 鹿児島県 2.2
47 和歌山県 2.19

子供の平均人員数(18歳未満人員数)

順位 都道府県 世帯人員
1 沖縄県 1.01
2 熊本県 0.94
3 佐賀県 0.9
4 宮崎県 0.89
5 島根県 0.87
6 鹿児島県 0.86
7 愛媛県 0.83
8 栃木県 0.82
9 広島県 0.82
10 福岡県 0.81
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11 長崎県 0.81
12 石川県 0.8
13 滋賀県 0.8
14 岡山県 0.8
15 群馬県 0.79
16 香川県 0.78
17 愛知県 0.77
18 和歌山県 0.77
19 山口県 0.77
20 徳島県 0.77
21 山形県 0.75
22 鳥取県 0.75
23 大分県 0.75
24 埼玉県 0.74
25 福井県 0.74
26 静岡県 0.74
27 三重県 0.74
28 茨城県 0.73
29 新潟県 0.73
30 岐阜県 0.73
31 大阪府 0.73
32 千葉県 0.72
33 富山県 0.72
34 山梨県 0.72
35 長野県 0.72
36 宮城県 0.71
37 岩手県 0.7
38 京都府 0.7
39 兵庫県 0.7
40 福島県 0.69
41 東京都 0.69
42 高知県 0.68
43 神奈川県 0.67
44 北海道 0.65
45 秋田県 0.63
46 奈良県 0.63
47 青森県 0.59

1つの世帯の中で、大人と子供の数をそれぞれ、多い/少ないで分けると、以下の4類型が設定できます。

I. 大人多い・子供多い    :福井県、群馬県など
II. 大人多い・子供少ない    :富山県、神奈川県など
III. 大人少ない・子供多い    :沖縄県、宮崎県、長崎県など
IV. 大人少ない・子供少ない :東京都、大阪府、青森県、高知県、北海道など

福井や富山といった北陸勢は「収入」のランキングにおいても首都圏に匹敵する高い水準にランクインしており、ゆとりランキング上位はI.かII.のタイプに入る県が多い傾向があります。これらの地域は、1人あたりの賃金が都会ほど高くなくても、世帯に占める有業の大人の人数が多いのが特長で、多世代同居や共働きによる「賃金収入のチーム力」によって世帯収入が高く、1人あたりで割り戻した場合にもその額を押し上げていると推察されます。とくにII.のタイプが1人あたり収入が大きくなる傾向があります。

対照的に、収入が低いのは、沖縄、宮崎、長崎などで、これらは、世帯に占める大人の人員が少なく、子供が多いIII.のタイプに属する傾向があります。と同時に、これらの県では賃金も低水準であることが考えられ(厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」などから)、1人あたりに換算した今回の「収入」も全国で最も厳しい数字となっています。

 東京や大阪は、大人も子供も少ないIV.のタイプです。このIV.には、青森、高知、北海道も入ります。IV.の地方グループは、賃金は安いが子どもの人数も少ないので今はなんとかやりくりできているという状態かもしれませんが、先を想像すると暗澹たる気持ちにはなります。 

 日本の収入・家計の構造は、収入の多寡だけでなく、家族構成の傾向も重ねることで、都道府県の特色をいっそう深く洞察できると言えます。 

物価よりも「ついつい外食」or「家で飲む酒」に注意―「食費」の考察

いよいよ支出を見ていきます。まず食費です。外食費、自炊費(外食以外)に分けて比較すると、住む場所によって食の経済構造が異なることが見えてきました。

外食費(1人あたり/月)

順位 都道府県 外食費(円)
1 東京都 14,839
2 神奈川県 12,763
3 香川県 11,855
4 千葉県 11,721
5 愛知県 11,703
6 大阪府 11,041
7 静岡県 10,880
8 茨城県 10,586
9 埼玉県 10,578
10 福岡県 10,358
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11 栃木県 10,230
12 奈良県 10,222
13 石川県 9,724
14 宮城県 9,648
15 滋賀県 9,646
16 兵庫県 9,564
17 富山県 9,470
18 岐阜県 9,357
19 高知県 9,276
20 三重県 9,199
21 徳島県 9,178
22 熊本県 9,155
23 群馬県 9,126
24 広島県 9,108
25 山口県 9,074
26 長野県 8,859
27 福井県 8,823
28 沖縄県 8,796
29 岡山県 8,717
30 鹿児島県 8,707
31 大分県 8,456
32 山梨県 8,421
33 京都府 8,410
34 佐賀県 8,311
35 新潟県 8,258
36 宮崎県 8,246
37 和歌山県 8,079
38 愛媛県 7,930
39 青森県 7,800
40 島根県 7,796
41 北海道 7,778
42 岩手県 7,675
43 福島県 7,586
44 長崎県 7,555
45 鳥取県 7,406
46 秋田県 7,270
47 山形県 6,938

外食費のランキングでは、東京(14,839円)が1位、神奈川、千葉、愛知など都市部が上位を占めています。47位の山形県(6,938円)と東京では、2倍以上の開きがあります。同じ系列のレストランで東京と山形で価格が倍違う、などということはあまりないと思うので、つまりこれは、物価の違いよりもより利用頻度の違いをより反映しているといえそうです。都市部の「選択肢の豊富さ」と「アクセスの良さ」が、無意識のうちにレストランやカフェなどの利用頻度を高め、「ついつい外食」というライフスタイルを定着させている結果と言えるでしょう。
食費全体における外食費の割合を見ても、東京、神奈川、愛知など都市部では20%以上、山形、秋田、岩手などが15%程度であることを見ても、やはり「ついつい外食」ということは言えそうです。
3位が香川県というのだけは特殊かつ非常に面白いポイントですが、香川県民はよほど頻繁にうどんを外食しているのだろうなと察しがつきます。

自炊費(1人あたり/月)

順位 都道府県 自炊費(円)
1 東京都 43,690
2 富山県 43,634
3 岩手県 42,027
4 千葉県 42,005
5 神奈川県 41,924
6 秋田県 41,147
7 宮城県 41,104
8 山形県 41,084
9 兵庫県 41,052
10 福井県 40,398
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11 奈良県 40,357
12 山口県 40,184
13 福島県 40,154
14 静岡県 40,071
15 埼玉県 39,959
16 長崎県 39,940
17 和歌山県 39,810
18 茨城県 39,789
19 石川県 39,692
20 大阪府 39,690
21 山梨県 39,601
22 愛知県 39,491
23 滋賀県 39,443
24 鳥取県 39,440
25 京都府 39,375
26 長野県 39,328
27 新潟県 39,320
28 北海道 39,066
29 高知県 38,721
30 青森県 38,639
31 群馬県 38,585
32 広島県 38,529
33 栃木県 38,471
34 熊本県 38,449
35 岐阜県 38,306
36 福岡県 38,129
37 三重県 37,908
38 岡山県 37,771
39 鹿児島県 37,689
40 香川県 37,543
41 大分県 37,532
42 島根県 37,048
43 沖縄県 36,971
44 佐賀県 36,906
45 宮崎県 36,779
46 徳島県 36,778
47 愛媛県 35,942

自炊費(中食、調理済み食費もこちらに含まれる)の支出額を見ると、最も高い東京(約4.4万円)と最も安い愛媛(約3.6万円)の差は約20%程度に留まります。東京が何につけても物価が高いのは当然としても、全国展開の物流が普及した現代、食材そのものの価格差は、食費全体の差を説明するほど大きくはないのかもしれません。コンビニ弁当などもこちらにカウントされています。
しかし、2位が富山県、3位が岩手県、その他上位には軒並み北陸・東北各県が入っていることもおもしろい。逆にランキング下位は、四国と九州勢。なぜだろうか探るべく、家計構造調査の元データの細目をAIに分析してもらったところ、自炊費上位の東北・北陸エリアでは、「米(穀類)」「魚介類」「果物」そして「酒類」の4ジャンルで支出額が大きく、これらが全体を押し上げているのだそう。自炊費が最下位の愛媛県は「酒類」の出費も最下位であり、頷けます。「家飲み」文化の傾向が強いのが東北・北陸なのかもしれません。富山のご家庭の食事にお呼ばれしたら、期待して出かけましょう(笑)

当たり前だがやっぱり高い、都会の「住居費」

次に生活費の中で最も大きな割合を占める住居費を見てみましょう。

※本レポートの「住居費」とは
本レポートは「住居費」を、実際に支払っている家賃・修繕費等に加え、持ち家世帯の「帰属家賃」を合算した金額として定義しています。これにより、「その地域に住むことの純粋な住居コスト」に近い推計となります。「帰属家賃」とは、持ち家に住んでいる人が「もし自分の家を借りるとしたらいくらかかるか」を地価等から推計した金額です。帰属家賃による補正をしないと、持ち家率が高い地方ほど住居費がゼロに近づき、生活コストが実態より低く見えてしまいます。持ち家の人は家賃を払っていないものの、住む場所を確保しているなんらかのコストがありえます。例えば今も毎月住宅ローン返済をしているかもしれませんし、去年のボーナスで一括返済しているかもしれません(代々相続してきた実家にタダで住んでいる可能性もありますが)。帰属家賃を加えることで、こうしたローン負担等も含めた実質的な住居コストにより近い推計が可能になります(実際、家計構造調査のデータとして集計されている都道府県別の「土地家屋ローン返済額」と「帰属家賃」の間には非常に強い正の相関(r=0.84)があることを確認しており、帰属家賃は現実の住宅コスト負担が反映された指標であることを裏付けています)。

住居費(1人あたり/月)

順位 都道府県 住居費(円)
1 東京都 85,815
2 神奈川県 67,049
3 埼玉県 61,892
4 千葉県 58,358
5 兵庫県 55,982
6 大阪府 51,352
7 岩手県 49,803
8 富山県 49,663
9 京都府 49,587
10 高知県 49,498
もっと見る(11位〜47位)
11 愛知県 48,635
12 宮城県 46,905
13 群馬県 46,895
14 鳥取県 46,597
15 福井県 45,691
16 三重県 45,635
17 岡山県 45,415
18 奈良県 45,269
19 静岡県 45,081
20 山梨県 44,732
21 愛媛県 44,545
22 茨城県 44,344
23 栃木県 44,044
24 石川県 43,782
25 新潟県 43,108
26 香川県 42,827
27 山口県 42,801
28 長野県 42,477
29 熊本県 42,432
30 福岡県 42,358
31 徳島県 42,343
32 滋賀県 41,845
33 岐阜県 41,827
34 広島県 41,511
35 和歌山県 41,463
36 秋田県 41,058
37 青森県 40,586
38 沖縄県 39,946
39 佐賀県 39,673
40 山形県 39,613
41 長崎県 39,199
42 福島県 39,080
43 大分県 38,617
44 島根県 38,551
45 鹿児島県 38,463
46 北海道 38,296
47 宮崎県 37,418

住居費が最も高い東京(85,815円)と最も安い宮崎(37,418円)を比べると月48,397円の差があります。収入ランキングでは東京が1位(319,562円)、宮崎は46位(232,644円)でその差は86,918円。ざっくりいうと、「東京に行くと給料は9万円ほど上がるが家賃も5万円ほど上がる」状態。東京人の稼ぎ力をもってしてもその「ゆとり」を揺るがす最大の支出はやはり住居費といえます。

ところでこのデータは「平米あたり」で計算しているのではなく、あくまで「1人あたり」の消費の実態です。一般的に都会では住居が狭く、地方ではゆったりしています。もし「平米あたり」も兼ね合わせて計算した場合には、東京と地方の差はもっと開くでしょう。「広さ」という「生活の質のゆとり」が地方にはあると言えるかもしれません。

金がかかるのは冷房より暖房

光熱費として、電気、ガス、灯油代を集計したのが次の表です。

光熱費(1人あたり/月)

順位 都道府県 光熱費(円)
1 青森県 11,988
2 岩手県 11,681
3 北海道 11,677
4 沖縄県 11,569
5 秋田県 11,528
6 富山県 11,304
7 福井県 10,991
8 福島県 10,924
9 山形県 10,818
10 新潟県 10,813
もっと見る(11位〜47位)
11 香川県 10,448
12 徳島県 10,436
13 鳥取県 10,373
14 高知県 10,287
15 岐阜県 10,139
16 栃木県 10,130
17 島根県 10,113
18 静岡県 10,005
19 茨城県 10,002
20 山口県 9,955
21 埼玉県 9,950
22 神奈川県 9,926
23 群馬県 9,736
24 千葉県 9,692
25 三重県 9,672
26 石川県 9,622
27 宮城県 9,589
28 山梨県 9,518
29 和歌山県 9,466
30 大阪府 9,336
31 東京都 9,267
32 愛知県 9,254
33 熊本県 9,234
34 広島県 9,208
35 岡山県 9,204
36 愛媛県 9,202
37 佐賀県 9,201
38 兵庫県 9,141
39 長野県 9,096
40 長崎県 9,085
41 奈良県 8,974
42 鹿児島県 8,968
43 京都府 8,944
44 大分県 8,846
45 福岡県 8,486
46 滋賀県 8,218
47 宮崎県 8,056

ランキングの上位3位は青森県、岩手県、北海道。冬の寒さが厳しく積雪の多い地域です。4位で沖縄県が登場しますが5位以降は再び東北・北陸地方がずらり並びます。北国ではとくに、灯油代が大きな支出項目となり、1人あたりの負担が都会よりも月数千円重くなります。富山県は「持ち家率」と「延べ床面積」が全国トップクラスということも相まって、広い家全体を暖めるコストが反映されていると思われます。最下位は宮崎県で8,056円。1位の青森県11,988円と4,000円ほどの差があります。さすがに沖縄は例外としても、光熱費がかかるのは南国よりも北国なのです。

インフラ維持と都市の経済効率

上下水道はどうでしょうか。

上下水道費(1人あたり/月)

順位 都道府県 調整後(円)
1 山形県 4,093
2 長野県 3,991
3 島根県 3,924
4 富山県 3,911
5 新潟県 3,851
6 宮城県 3,818
7 青森県 3,729
8 岩手県 3,621
9 福島県 3,594
10 千葉県 3,555
もっと見る(11位〜47位)
11 奈良県 3,522
12 茨城県 3,508
13 秋田県 3,467
14 佐賀県 3,432
15 京都府 3,363
16 北海道 3,344
17 福井県 3,339
18 長崎県 3,321
19 三重県 3,297
20 滋賀県 3,238
21 神奈川県 3,186
22 鳥取県 3,180
23 香川県 3,177
24 兵庫県 3,157
25 栃木県 3,120
26 石川県 3,067
27 岡山県 3,065
28 大阪府 3,037
29 群馬県 3,025
30 岐阜県 3,013
31 山口県 2,926
32 埼玉県 2,873
33 愛知県 2,856
34 宮崎県 2,848
35 静岡県 2,842
36 山梨県 2,830
37 東京都 2,794
38 福岡県 2,775
39 広島県 2,767
40 熊本県 2,674
41 大分県 2,619
42 沖縄県 2,518
43 愛媛県 2,510
44 和歌山県 2,444
45 鹿児島県 2,338
46 徳島県 2,262
47 高知県 2,261

上下水道料が高いのは山形県、長野県、島根県、となっています。広範な地域に住居が点在しているとインフラのコスト効率は下がります。山岳地帯や積雪地では水道管の維持管理コストや凍結対策費はいよいよかさみ、それらが料金を押し上げる要因になっている可能性が考えられます。

一方、広島(2,767円)、福岡(2,775円)、東京(2,794円)のような都市の人口密集地では、1人あたりの負担額が安くなる傾向にあります。1位と47位を比較して、光熱費ほど差が出ないのが水道料ですが、それでも地域性がにじみ出ている結果といえるでしょう。

ところで上表のとおり上下水道費が安い高知県、徳島県、鹿児島県などは注意が必要で、これらの県は下水道の普及率が低く、そもそも下水料金が発生しない世帯が多いと考えられます。下水道がない地域では浄化槽を使用していますが、浄化槽の管理維持費はこの統計では調査されていません。ランキング下位の地域は参考値として見る必要があります。

車 vs 電車 断然お安く上がるのはやはり都会

次に地域や生活スタイルによって違いが大きい「交通費」を見ていきましょう。
「交通費」の項目には電車・バス代、ガソリン代、自動車整備費(車検・修理)などが含まれます。今回は「自動車購入費」という数年に一度の大きな支出を除外することにより、「その土地で移動し、生活を維持するために毎月かかる基礎コスト」を算出して比較しました。また交通費を、「交通費(合計)」、「公共交通費」(鉄道、バス、タクシー、航空運賃など公共の乗り物にかかる費用)と「自動車関連費」(ガソリン代・点検代・保険料などの維持費)に分けてランキングを作成しました。

公共交通費(1人あたり/月)

順位 都道府県 公共交通費(円)
1 東京都 6,706
2 神奈川県 5,881
3 香川県 5,590
4 千葉県 5,164
5 奈良県 4,777
6 兵庫県 4,460
7 大阪府 4,377
8 滋賀県 4,191
9 宮城県 4,120
10 埼玉県 4,009
もっと見る(11位〜47位)
11 茨城県 3,557
12 愛知県 3,528
13 群馬県 3,258
14 京都府 3,247
15 広島県 3,208
16 岐阜県 3,114
17 静岡県 2,873
18 福岡県 2,869
19 岩手県 2,733
20 長崎県 2,639
21 岡山県 2,576
22 長野県 2,517
23 鹿児島県 2,473
24 高知県 2,451
25 和歌山県 2,440
26 宮崎県 2,308
27 大分県 2,303
28 三重県 2,300
29 新潟県 2,275
30 石川県 2,253
31 北海道 2,248
32 山口県 2,128
33 福井県 2,026
34 青森県 2,024
35 沖縄県 2,021
36 愛媛県 1,862
37 富山県 1,826
38 熊本県 1,797
39 秋田県 1,780
40 栃木県 1,691
41 福島県 1,601
42 山梨県 1,599
43 山形県 1,546
44 佐賀県 1,448
45 徳島県 1,364
46 鳥取県 1,300
47 島根県 1,148

公共交通機関の支出は、東京(6,706円)や神奈川(5,881円)をはじめとする首都圏が圧倒的に高く、上位を独占しています。通勤・通学など日常の移動が公共交通が中心であるためでしょう。一方で、島根(1,148円)や鳥取県(1,300円)など安い県では月1000円台です。「たまに電車やタクシーを使う程度」で、公共交通機関をあまり使わない生活スタイルが伺われます。

自動車維持費(1人あたり/月)

順位 都道府県 自動車維持費(円)
1 山梨県 17,384
2 山口県 16,672
3 長野県 16,201
4 鳥取県 16,167
5 福島県 16,083
6 石川県 15,642
7 富山県 15,583
8 高知県 15,476
9 山形県 15,448
10 群馬県 15,025
もっと見る(11位〜47位)
11 秋田県 14,894
12 鹿児島県 14,801
13 徳島県 14,740
14 島根県 14,354
15 岐阜県 14,189
16 新潟県 13,789
17 青森県 13,782
18 岩手県 13,678
19 茨城県 13,587
20 長崎県 13,546
21 広島県 13,480
22 北海道 13,404
23 福井県 13,284
24 岡山県 13,278
25 和歌山県 12,981
26 佐賀県 12,960
27 熊本県 12,869
28 滋賀県 12,837
29 宮城県 12,817
30 大分県 12,569
31 香川県 12,418
32 静岡県 12,168
33 愛知県 11,837
34 宮崎県 11,814
35 三重県 11,745
36 沖縄県 11,506
37 奈良県 11,295
38 愛媛県 10,863
39 千葉県 10,700
40 兵庫県 10,387
41 埼玉県 9,572
42 福岡県 9,247
43 京都府 8,276
44 大阪府 8,246
45 神奈川県 7,189
46 栃木県 6,640
47 東京都 6,550

自動車維持費の支出は、公共交通とは真逆のランキングになりました。上位の山梨(17,384円)や長野(16,201円)などは、公共交通機関だけでは通勤や買い物が困難な地域が多く、日々の移動距離が長くなりガソリン代などがかかる傾向にあります。長野や福島などは積雪地帯でもあるため、スタッドレスタイヤの購入など、雪国特有の維持費が加算されています。

自動車維持費が最も低い東京(6,500円)や神奈川(7,189円)、大阪(8,246円)、京都(8,276円)などでは、そもそも車を所有しない世帯が多く、平均をとると薄まるという構造です(が、当然ひとたび東京で車を持ったならば駐車場代だけで大変なことになります)。

いやちょっと待って下から2位の栃木などはとても車社会なのでは?という気がしますし隣県の茨城県と7千円も違ってくるのはサンプルがスパースなのかしら、なんのノイズかしらとちょっと疑いが出てきますね。もし栃木が茨城並みに自動車維持費がかかる県であれば、栃木県のゆとり額総合2位という栄光は崩れ、数ランク下がることになりそうです。「家計構造調査」の数字を細かく見ていると、「あらこれはサンプルサイズが小さくて無理めなのでは」みたいな局面に時々遭遇するのは事実なので、おおめにみてやってください。

さて、公共交通費と自動車維持費の支出はやはり逆転することがわかりましたが、これらを合計したら勝負はどうなるでしょうか。

交通費計(1人あたり/月)

順位 都道府県 交通費計(円)
1 山梨県 18,983
2 山口県 18,800
3 長野県 18,718
4 群馬県 18,283
5 香川県 18,008
6 高知県 17,927
7 石川県 17,895
8 福島県 17,685
9 鳥取県 17,468
10 富山県 17,408
もっと見る(11位〜47位)
11 岐阜県 17,302
12 鹿児島県 17,274
13 茨城県 17,144
14 滋賀県 17,028
15 山形県 16,994
16 宮城県 16,937
17 広島県 16,687
18 秋田県 16,673
19 岩手県 16,411
20 長崎県 16,185
21 徳島県 16,103
22 奈良県 16,072
23 新潟県 16,064
24 千葉県 15,864
25 岡山県 15,854
26 青森県 15,806
27 北海道 15,651
28 島根県 15,501
29 和歌山県 15,421
30 愛知県 15,365
31 福井県 15,310
32 静岡県 15,041
33 大分県 14,872
34 兵庫県 14,847
35 熊本県 14,666
36 佐賀県 14,408
37 宮崎県 14,122
38 三重県 14,045
39 埼玉県 13,581
40 沖縄県 13,527
41 東京都 13,256
42 神奈川県 13,070
43 愛媛県 12,725
44 大阪府 12,623
45 福岡県 12,116
46 京都府 11,523
47 栃木県 8,331

交通費の総額を見ると、やはり地方不利、都会有利、という結果。どこへ行くにも自家用車が前提の地方のほうがトータルで高く付くと言えそうです。山口県などは、歴代の有力政治家をバンバン輩出してきただけあって、道路網がえげつないほど整備されていて、さもありなん…という印象。

いずれにしても、田舎のほうがトータルで交通費はかかりそうです。しかも今回のこの数字には車体の購入費用は入っていません。都市部で車を持たずに生活している人が地方への移住を考える場合は、車を持つことのコストとして、「月1~1.5万円+自動車本体の購入費」を追加予算にイメージしておくとよいでしょう。

 教育費支出トップは東京ではなくあの県!? 

では非常に興味深い「教育費」の支出を見てみましょう。

※教育費については、子供のいる世帯といない世帯の割合が、都道府県間で異なることが「平均値」に影響を与えることが推察されますが、念の為確認してみたところ、人数による標準化をして教育費の平均値の計算をし直しても、ランキングにあまり影響がないことがわかっており(末尾の「教育費に関する定義と注記」を参照のこと)、総合力を検討したい今回の分析ではこの点は一旦無視できるものとして考えていきます。

教育費(18歳未満1人あたり/月)

順位 都道府県 子1人当たり(円)
1 奈良県 41,510
2 神奈川県 37,724
3 京都府 33,754
4 兵庫県 33,517
5 東京都 33,501
6 大阪府 32,684
7 千葉県 28,796
8 滋賀県 28,516
9 愛知県 24,630
10 茨城県 23,900
もっと見る(11位〜47位)
11 福井県 23,808
12 岐阜県 22,425
13 三重県 20,855
14 埼玉県 20,512
15 和歌山県 20,257
16 富山県 19,822
17 栃木県 19,118
18 石川県 17,520
19 長野県 17,189
20 徳島県 16,729
21 広島県 16,355
22 山形県 15,121
23 新潟県 14,893
24 岡山県 14,070
25 群馬県 13,771
26 福岡県 13,669
27 静岡県 13,649
28 山梨県 13,535
29 宮城県 13,096
30 長崎県 12,794
31 佐賀県 12,020
32 鹿児島県 11,922
33 香川県 11,201
34 愛媛県 11,087
35 大分県 10,747
36 熊本県 9,551
37 北海道 9,454
38 山口県 9,201
39 青森県 8,998
40 岩手県 8,913
41 福島県 8,735
42 鳥取県 7,007
43 島根県 6,910
44 秋田県 6,489
45 高知県 6,163
46 宮崎県 5,224
47 沖縄県 5,063

教育費の支出が最も多いのは奈良県(41,510円)でした。奈良県では私立校や塾への支出が大きいためだと考えられます。難関大受験で人気の私立進学校や塾が教育熱心な親御さんや子供本人を駆り立てているのでしょうか。2位以降は神奈川(37,724円)、京都(33,754円)、兵庫(33,517円)、東京(33,501円)と関東、京阪神の都府県が続き、1人あたり月3~4万円の教育コストが家計を圧迫しています。一方で、最も低いのが沖縄県(5,063円)、ついで宮崎県(5,024円)。最上位と最下位で、毎月3万5千円以上の差があるのが驚きです。この差は大きく、冒頭の「経済的ゆとり額」にも大きな影響を与えています。

教育費は、住居費や食費のように「住む場所」で自動的に決まるコストではなく、親の価値観や子供本人の意思で変わりうるものでもあります。奈良にいても公立学校に行き、塾に通わなければ、さほどお金はかかりません。しかしどうしても地域の教育環境や文化で「流される」という事実はあるでしょう。

都会で塾や私立校に通わせれば授業料で日々のゆとりは削られますが未来の日本をリードする人材に育つかもしれません。地方で競争とは距離を取ってのんびり育てば、地方経済の担い手としてこちらもたくましく地元を支える人材となるかもしれません。どう生きていきたいか、親子で絶賛悩んでいただければと存じます。

まとめると:価値観と地域環境のマッチングは大事、でも己の考え方次第で決められることも多い

家計の「ゆとり」もしくは「どこに住めば本当に豊かに暮らせるのか」という問いへの答えは単に収入・支出の多寡だけでなく、人生の価値観と地域の環境がどれだけマッチしているかで決まるものなのでしょう。自分が何に価値を置き、何を豊かと定義するか。何に投資をするべきか。それを支えるのはどんな環境なのか。


同時に環境がどこであれ、自分の価値観や選択だけで決められることも多いことがわかりました。たとえば、夫婦の共働きのバランス。さらには親も一緒に住んで、働ける間はみんな働こ、というのが最も収入は増えてコストの効率も上がる。あとは香川に住んでもうどんを控えるなど(笑)教育費も考え方次第という面がある。

今回のレポートが、皆様にとって真に豊かな暮らしを考えるための一つのヒントになれば幸いです(余計に悩ましくなってしまったら誠に申し訳ございません)。

「全国家計構造調査」からの集計方法、言葉の定義など

▼データソース

総務省統計局「令和6年(2024年)全国家計構造調査」家計収支に関する結果
第1-1表 全国・都市階級・地方・4大都市圏・都道府県,世帯の種類(3区分),世帯区分(4区分),世帯主の性別(3区分),収支項目分類(細分類)別1世帯当たり1か月間の収入と支出

▼対象世帯の絞り込み条件

世帯の種類:「1_二人以上の世帯」
世帯区分:「1_勤労者世帯」
世帯主の性別:「0_平均」(男女計)

可処分所得データが正確に計上される世帯に限定するため、無職世帯(年金等)やその他の世帯(自営業等)は除外しています。

▼使用した収支項目(ローデータの列I「収支項目分類」のコード)

世帯人員:表章項目「世帯人員」、収支項目「1_平均」
18歳未満人員:表章項目「18歳未満人員」、収支項目「1_平均」
有業人員:表章項目「有業人員」、収支項目「1_平均」
可処分所得:収支項目「4_可処分所得」
食料:収支項目「210101_食料」
  うち外食:収支項目「21010112_外食」
  自炊 = 食料 − 外食(計算値)
住居:収支項目「210102_住居」
帰属家賃:収支項目「22_[持ち家(現住居)の帰属家賃]」
  住居費計 = 住居 + 帰属家賃(計算値)
光熱・水道:収支項目「210103_光熱・水道」
  うち上下水道料:収支項目「21010304_上下水道料」
  光熱(上下水道以外) = 光熱・水道 − 上下水道料(計算値)
交通:収支項目「21010701_交通」(鉄道・バス・タクシー・航空・有料道路等)
自動車等関係費:収支項目「21010702_自動車等関係費」
  うち自動車等購入:収支項目「210107021_自動車等購入」
  自動車維持費 = 自動車等関係費 − 自動車等購入(計算値)
  交通・自動車費 = 交通 + 自動車維持費(計算値)
通信:収支項目「21010703_通信」(携帯電話・固定電話・郵便等)
保健医療:収支項目「210106_保健医療」
教育:収支項目「210108_教育」

▼「経済的ゆとり額」の計算式

実質的な基礎支出(生活固定費)の定義
基礎支出(世帯)= 食料 + 住居 + 帰属家賃 + 光熱・水道 + 交通・通信※ + 保健医療 + 教育 − 自動車等購入※※

一過性の大型支出である「自動車等購入費」は除外することで、月々の安定的な固定費として定義しています。

支出は、大きく「消費支出(生活費)」と「非消費支出(税金・保険料)」に分かれますが、本分析では「生活の基盤として回避できない固定費」を「基礎支出」と定義しました。都会と地方の「豊かさ」を比べる際、単純な手取りの多さではなく、「最低限これだけは払わなければならないお金」を引いた後に、どれだけ自由なお金(ゆとり)が残るかを検証するためです。

※交通・通信は「210107_交通・通信」(交通+自動車等関係費+通信の合算)をそのまま使用。費目別ランキングでは交通・通信・自動車維持費に分解して表示。

※※自動車等購入について:勤労者世帯のデータに欠損がある県があったため、ゆとり計算(基礎支出の控除)には「二人以上の世帯・全世帯・平均」の値を代用。自動車維持費ランキングの内訳表示には勤労者世帯の値を使用。

経済的ゆとり額(等価経済的ゆとり額)の定義
ゆとり額(世帯)= 可処分所得 − 基礎支出
等価経済的ゆとり額 = ゆとり額(世帯) ÷ √世帯人員

<OECD等価尺度の適用>
世帯の平均人数は都道府県でバラバラなので、「1人あたり」でフェアな比較評価するために、算出した世帯の「ゆとり額(可処分所得-基礎支出)」を世帯の人員数で割り算しました。ただし、単純な世帯人員数ではなく「世帯人員の平方根」で割り算しています。つまり、3人家族であれば「÷3」、4人家族であれば「÷4」と単純に割り算するのでなく、「÷√3」、「÷√4」で計算しています。1人暮らしの人が2人暮らしをするようになると、生活コストは1倍のままでもなく逆に2倍になるのでなく、√2倍程度になる、というのが統計的により実態に近いことがわかっているようです。
費目別のランキング集計では、世帯人員が多いことのスケールメリットがあまりないと思われる「教育費」と「保健医療費」については、単純に人員数で割り算しています。

参考)OECD equivalence scale 

収入、可処分所得の定義
本レポートにおける「収入」とは、全国家計構造調査中における「可処分所得」のことです。税金や社会保険料を差し引いた後の、いわゆる「手取り」の月収を指します。その元となる「実収入」には、勤め先からの給料(基本給・諸手当・ボーナス)、事業収入、公的年金、仕送り金など、継続的に得られる収入が含まれます。株の売却益、退職金、土地・建物の売却代金、相続などの一時的な収入は含まれていません。

費目別ランキングの「1人あたり」除算方法

費目別のランキング分析では、OECD等価尺度を使ったものと、使っていないものとを分けて分析しました(経済的ゆとり額の算出ではすべてOECD等価尺度を使用しています)。

スケールメリットあり → ÷√世帯人員(OECD等価尺度)

等価ゆとり
可処分所得
食料(自炊・外食含む)
住居費計
光熱・水道(光熱(上下水道以外)・上下水道料含む)
交通(公共交通)
通信
自動車維持費
交通・自動車維持費

生活費に比較的スケールメリットがあると考えられる費目です。4人家族の食費や光熱費は1人暮らしの4倍にはなりません。√人員で割ることで国際的に標準的な比較が可能となります。

スケールメリットなし → ÷世帯人員

保健医療

個人の身体に紐づく支出であり、人数に比例してコストが発生すると考えられます。

子供数に比例 → ÷18歳未満人員

教育

子供1人増えれば塾代はほぼ1人分増える。スケールメリットがあまりはたらかないものと考えられるため、子供の人数で割りました。

▼住居費計の定義(帰属家賃を含む理由)

住居費計 = 住居(家賃・修繕費等の実支出)+ 帰属家賃(持ち家の仮想コスト)

持ち家率が高い地方ほど「住居」の平均値がゼロに近づく構造的バイアスがあり、帰属家賃で補正。
都道府県別の土地家屋ローン返済額と帰属家賃の間には r=0.84 の強い正の相関があり、帰属家賃が現実の住宅コスト負担を反映した指標であることが確認されている。

▼教育費に関する定義と注記

教育費には、授業料、塾・習い事の月謝、教科書代などが含まれます。このデータは「教育費を支払っている世帯」の平均ではなく、「調査対象となった全世帯」の平均値です。そのため、子どもがいない家庭も分母に含まれています。

都道府県間の教育費の違いが、世帯に子どもがいるかいないかの割合が影響する可能性を考慮して、18歳未満人員の各都道府県平均値を用いて各県の子ども1人あたり教育費(=世帯教育費÷18歳未満人員)を算出し、全国平均の18歳未満人員数(0.76人)を掛けて標準化したところ、都道府県間の18歳未満人員数の差は教育費のランキングにほとんど影響を与えないことがわかりました(最大±3ランク)。つまり、都道府県間の教育費の違いは、世帯に子どもがいるかいないかよりも、塾通いのあるなし、私立と公立どちらが多いのか、など親や本人の価値観や学校環境の違いがより大きく影響していると考えられます。

▼交通・自動車費の定義

交通・自動車費 = 交通(公共交通)+ 自動車維持費
交通 = 21010701_交通(鉄道運賃・バス代・タクシー代・航空運賃・有料道路料等)
自動車維持費 = 21010702_自動車等関係費 − 210107021_自動車等購入

自動車等購入は一過性の大型支出で、平均値が安定しないため控除しました。維持費にはガソリン、自動車保険、整備費、駐車場代等が含まれます。
公共交通と自動車維持費を合算することで、都市型(鉄道中心)と地方型(車中心)の移動コストを統一的に比較できるようにしました。

 

担当/阿部倫子・添田愛沙

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